「優駿」オセアニア情報





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優駿 2002年12月号




史上最高メンバーが出揃った2002年コックスプレートは、ノーザリーの大勝利

毎年10月にメルボルンのムーニーバレー競馬場で開催されるコックスプレート・ステイクス(GT2005m)が、オセアニアの最強馬を決定すると言われる理由は、このレースが単純に馬齢重量戦であるからだ。というのも、オーストラリアは、一般的に、馬券ファンのためのハンデレースが多く、しかも、短距離レースが多い。したがって、オーストラリアにしては2005mという距離は長すぎる距離だが、オーストラリア人は"強い馬は距離を乗りこえられる'と思っているために、毎年、このレースには、これまで2000mの距離を走ったことのない馬が出走してくる。例えば、今年は、3歳のチャンピオン・スプリンターであるベルエスプリや、強力なマイラーのビクトリーベインが出走した。

さて、今年のコックスプレートはターフの女王サンラインの引退レースも兼ねていると同時に、ノーザリーが2年連続でコックスプレートを制することができるかどうか。オクタゴナルの息子ロンロが、ベテランを破ることができるかどうか。また遠征馬のグランディーラが、オセアニア勢を破ることができるかどうかと、ファンの関心が多岐に渡って、異常な盛り上がりを見せ、ムーニーバレー競馬場には何と5万人近い観客が詰め掛けた。記録破りである。

当日、予想通りにサンラインが逃げ始めると観客はそのまま逃げ切って欲しいという期待を込めて歓声を上げ始めた。しかしノーザリーが捕まえる。後ろからディファイアーとグランデーラが追いかけてきた。そして結局ノーザリーが力強い優勝を果たしたのだった。観客は、コックスプレートを過去2年連続で勝った女王サンラインと、昨年と今年の2年連続優勝を果たして揺るぎのないオセアニアのトップの座についたノーザリーを称えて、いつまでも拍手を惜しまなかった。
ところで、ノーザリーの騎手はこれまで何度も代わっている。最初はダミアン・オリバー騎手、次はグレッグ・チャイルズ騎手。グレッグ・チャイルズ騎手は、最近ノーザリーで6戦して6勝しているが、コックスプレートではこれまで運命を共にしてきたサンラインに騎乗。したがって、現在オーストラリアで最もナチュラルな乗り手と高い評価を受けるパトリック・ペイン騎手が乗った。このレースには、実はダミアン・オリバー騎手もフィールドオブオマール号(4着)に乗っていて、何とも運命の糸をこんがらからせていた。

コックスプレート・ステイクスのレース前、プロの馬券師やマスコミは、ノーザリーの優勝にかなり疑問を持っていた。というのも、彼は1週間前に、GTのコーフィールドカップを走って勝っているからだ。バート・カミングス調教師などはレース直前の新聞インタビューで、"ノーザリーは絶対勝てないと。名なぜなら、1週間前に走っているからだ"と答えている。実は、コーフィールドカップの時にも、競馬の専門家たちは彼の優勝を疑っていた。なぜこのレースで走らせるのか分からないと暗にクースリー調教師を批判していた。普通コーフィールドカップの優勝馬は、昨年のエセリアルがいい例のように、ハンデが少ないステイヤーが勝つチャンスが大きいのだ。今年のコーフィールドカップで、ノーザリーは58kgの最高ハンデ、しかも、彼は、まだ2500mを走ったことがなかった。しかし、ノーザリーは今までの常識を破って、このレースで、圧倒的な強さを見せた。

コーフィールドカップの時の鞍上にはグレッグ・チャイルズ騎手だったのだが、彼はレース後のインタビューで"ソフトフィニッシュだった'と語った。つまり無理せずに余力を残して勝ったということだ。コックスプレート・ステイクスでサンラインに騎乗することが決っている彼としては実に複雑な心境だったに違いない。ノーザリーはファイティングスピリットの持ち主である。だから、今年のレースでも、サンラインが逃げ始めた時、パトリック・ペイン騎手は、"シメタと思った"と語っていた。2着のディファイアーは、何とも期待以上の2着。そして3着のグランデーラに騎乗したデト-リ騎手は、"普段大きな競馬場を走っているグランデーラは、ムーニーバレー競馬場のあのタイトなコーナーを打ち勝てなかった"という。

ノーザリーはコックスプレート優勝後すぐに、ドバイのワールドカップ委員会から来年3月の招待を受けた。昨年も招待されたのだが、今年のコックスプレートに焦点を当てたいと断った経緯がある。しかし、来年ノーザリーは、世界を股にかけて、オーストラリア馬の評価を世界に知らしめるとの噂が広がった。GT8つ獲得。総収得賞金が日本円で約6億円。1400mから2500mを難なくこなすノーザリーをぜひ国際舞台で見たいというのは、オーストラリアの競馬ファンの心からの願いである。