「優駿」オセアニア情報





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Mariko Hyland & Associates Pty.Ltd.



優駿 2003年4月号




競馬界を沸かせるシンデレラボーイ、その名もマーフィーズブルーボーイ

オーストラリアの競馬にはドラマが一杯。しかも、オーストラリア人はいつもシンデレラ物語が大好き。日本の競馬で言えば例えば、地方競馬から中央に移籍してチャンピオンになったオグリキャップのような馬がとりわけ好きである。ところで、今年になって大いにオーストラリアの競馬界を沸かしたのは、そのシンデレラボーイ物語。マーフィーズブルーボーイ物語である。

マーフィーズブルーボーイは"グンダウインディ・ボーイ"と呼ばれる。グンダウインディは、クインズランド州の超田舎町。そしてその超田舎町は、オーストラリアの競馬ファンにはお馴染みの場所。なぜなら、グンダウインディから1970年代に、オーストラリアの競馬界を席巻するようなチャンピオン馬ガンシンドが出てきたからである。だからマーフィーズブルーボーイがこの町から疾風のように出現して、およそ10馬身離して3勝目を果たした時に、既に彼を称える詩が書かれたという。4戦目は、いよいよメルボルンへチャレンジ。ほぼ三千キロ離れたオーストラリア競馬の中心へ出かけて行った。目指すは、チャンピオンスプリンターの登竜門ブルーダイアモンドステイクス。まずはその前哨戦のGVブルーダイアモンドプレビュー(1000m)を57.03秒。7馬身チギッテ勝った。鞍上のダミアン・オリバー騎手は、"今まで騎乗した2歳馬で最も優れた馬だ"と絶賛。次の前哨戦GVブルーダイアモンド・プレリュード(1100m)では大本命になった。

マーフィーズブルーボーイは、クインズランド州グレンローガン牧場にいるブルータスマニ産駒である。実は、ブルータスマニはオーストラリアにたった1頭いる、アフリートの息子。昨シーズンで3年目の種付けをしていたが、種付け頭数がわずか30頭から40頭と、産駒の活躍ももうひとつと、今年マーフィーズブルーボーイが出現するまでは実は売却の話が進んでいた。94年にイタリアでチャンピオン2歳馬になり、当時は最も速い2歳馬と言われていた。その後アメリカに渡り、95年のクラシフィケーションでは、アナバやジュエルオブプリンセスよりも高く評価されていた。いずれにしても、今回のマーフィーズブルーボーイの活躍で、ブルータスマニ売却の話しはキャンセル。来シーズンは種付け料も種付け頭数も大幅に増えるという。
マーフィーズブルーボーイのミック・ヒクス調教師は、実は、このブルータスマニに惚れて、彼が持っていた繁殖牝馬マーフィーズアーチに3年に渡って種付けをした。生産者でしかも調教師。そしてオーナー。ブルーダイアモンド・プレリュードを前に、オーストラリアの競馬界・生産界はこのマーフィーズブルーボーイを手に入れようとかなりのお金が動いた。とりわけマーフィーズブルーボーイはオーストラリアには珍しい牡馬だったことから、クインズランド州の生産牧場もいくつか買いに出た。そのオファは何と200万ドルにも上ったと言う。しかし、結局、ヒクス調教師は49%をシドニーのパブ経営者に100万ドル近くの金額で売った。

ところが、マーフィーズブルーボーイは、大本命だったブルーダイアモンドプレリュードで7馬身離して逃げていたのに、ゴール前で後ろから来たハマービームに捕まって2着になった。逃げていたダミアン・オリバー騎手は鞭もいれずに安心しきっていて、急いで鞭を入れたときには既に抜かれているという始末。オリバー騎手は、レース後、タンクに燃料がなかった、つまり力が尽きていたと説明したが、ホントだろうか。ヒクス調教師はがっかりして大目標だったブルーダイアモンドへの挑戦を止めた。これから彼がどうするのかファンの見守る中、今、オーストラリアでは、マーフィーズブルーボーイが世界最高額の賞金を誇る2歳馬レース、4月のゴールデンスリッパーステイクスに出走するという噂が広がっている。