「優駿」オセアニア情報





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Mariko Hyland & Associates Pty.Ltd.



優駿 2003年8月号




ジョワジールがロイヤルアスコットで大躍進
なんと5日間でG2→G1と連勝!!

"ワラビーの負けなんか気にしないぞ。ショワジールがいるから"と、オーストラリアの新聞は書きたてた。ワラビーとは、オーストラリアのナショナル・ラグビーチームで、先日英国のラグビーチームと対戦、惜敗した。そしてショワジールとは、先日5日間で英国の重賞を2勝したオーストラリアのスプリンターである。英国とオーストラリアは歴史的にも微妙な関係にある。つまりかつて英国の属国だったオーストラリアが、これまで何度も英国に行ってワールドカップを含めてラグビーで勝っている。それが、今回はオーストラリアに遠征してきた英国チームに負けて悔しいは悔しいが、しかし、我々にはショワジールがいるぞというオージー魂を言っているのだ。

もっとも、オーストラリア人もいい気なものだ。ついこの前まで、つまり、ショワジールが最初の重賞、キングズスタンドステイクスに勝つまでは、誰もショワジールに注目をすることはなかった。それが、GUに勝った途端に急に騒ぎ出し、更に4日後のGTゴールデンジュビリーに勝ったら、もう大騒ぎ。調子がいいこと。とはいうものの、ショワジールは、名スプリンターがたんといるオーストラリアの中では決して目立つスプリンターでもなかった。彼の厩舎はシドニーから100kmも離れたプロビンシャル競馬場のニューキャッスルにあり、堅実な田舎の調教師であるポール・ペリー調教師の管理馬。だからそのペリー調教師がなんと36時間かけて英国遠征を行ったと聞いたときには、オーストラリアの誰もがあまり期待をしてなかったのは事実。

しかし、ポール・ペリー調教師は、よほど腹の座った調教師だと思う。自分の管理馬に対する絶対的な信頼感があったのかも知れないが、今回は、自分の息子とお父さんと、しかも64歳になる調教厩務員も連れて英国に行った。(この彼は未だにレース騎乗をすることもある)英国風にモーニングを着用してのレース参加。ゴールデンジュビリー後には、エリザベス女王との会見もあったという。翌日、オーストラリアの一般のテレビもラジオも、新聞も一斉に騒ぎ出した。ちなみにゴールデンジュビリーは、かつて、アグネスワールドが2着になったレースだ。

ショワジールは、3歳のデインヒルダンサー産駒である。デインヒルダンサーは、クールモアの所有だが、昨年まで、ビクトリア州に、サングスター氏がヘイズファミリーと一緒に所有しているコリングローブ牧場に、シャトルされていた。デインヒル亡き後、デインヒルダンサー産駒の活躍も目立ち始め、今シーズンからはハンターバレーのクールモア・オーストラリアにシャトルされることになっている。母のグレートセレクションには、オーストラリアの誇るビスケイの血が入っていて、これまで98年と99年にデインヒルダンサー産駒を生んでいるが、2000年にラングファーを受胎後死亡している。生産者のロス・デイズリー氏は、98年産駒を自分の馬として、99年産駒をマジックミリオンズのセリに出した。それが、ショワジールになる。彼が自分で使うことにしたダニーダンサーは、現在4歳のせん馬。シドニー郊外のホークスベリー近辺で27戦して3勝。とりあえず飼い葉代だけ稼いでいる平凡な馬だ。いずれにしても、99年生まれのショワジールは、ポール・ペリー調教師にわずか5万5千ドル(約44万円)で落札された。現在の彼の価格は種牡馬としての価値を入れると1200万ドルぐらいだと言う。

さて、ショワジールのオーストラリアでの成績はGTのライトニングステイクス(1200m)と、GUエミレーツクラシック(1200m)GVスカイラインステイクスを含めて21戦5勝。10回入着という成績。昨年は、彼の"悪癖"ため、何頭もの馬が駄目になった暴れ者だった。悪癖とはいきなり飛び出し止らないこと。昨年のゴールデンスリッパーの優勝馬キャラウエイガールの調教師は、「とにかく、あいつとうちの馬が走って、何回もやられたよ。やつと対戦するまではよかったのに、今では、後ろから誰か来るとびくびくするようになってしまって。」と、嘆いている。事実、彼には、スピードフリーク(スピード気違い)というあだ名もついていたぐらい。しかし、今回は、そのスピード気違いぶりがまさに効果を挙げたよう。南半球生まれ、半年遅れというハンデにもかかわらず、英国の重賞を2勝とは。ショワジールは、このまま調子がよければ、GTジュライカップにも挑戦と言うから楽しみなことである。なお、余談だが、先日このコーナーで紹介したベルデュジュールは、ショワジールとともに、ゴールデンジュビリーに走ったが腱を痛めて、レース後すぐに引退することになった。サドラーズウエルの種をつけて、オーストラリアに帰る予定だという。