「優駿」オセアニア情報





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優駿 2003年12月号




03年の豪州最強馬決定戦コックスプレート
優勝は伏兵フィールズオブオマー

なぜロンロは敗れたのだろうか?10月25日のコックスプレートステークス以来、オーストラリアの全ての競馬ファンが考えていることだ。1.6倍という大本命で、しかも、それまで5戦連続を続けてきた無敵の彼の前に立ちはだかるものは何もないだろうとお思われていたのに。ロンロが負けたのは、当日になって大振りになった雨のせいだという人もいる。ビードマン騎手が後ろにつけすぎたせいだという人もいた。実際、彼は結局は5着になった2番人気のクランガランの後ろにぴったりつけていたのだ。クランガランの調教師であるジェラルド・ライアン調教師はレース前に、「ロンロは無敵なようだが、ムーニーバレー競馬場は彼に向いていない。彼は、何らかの理由で彼はあの競馬場が好きではないのだ」という言葉が今になってみれば重く響いてくる。ロンロはムーニーバレー競馬場では絶対勝てない。これはもはやジンクスになってしまった。騎乗したダレン・ビードマン騎手は、この日ロンロに乗るために14日だった騎乗停止の制裁に関して上訴し、1日短くしてもらった代わりに3万ドルの罰金を払った。最近亡くなったオーナーのインガム氏の弔い合戦でもあった。

2003年のコックスプレートは当日は思ったより盛り上がらなかった。ムーニーバレー競馬場への入場者も、昨年の2万8千人に比べると8千人も少ない2万人に留まった。もっともこれは今年から50ドルに跳ね上がった入場料のせいだという人もいたが、8千人とは激減に近い。おまけに出走馬がたった7頭。元南アフリカで走っていたという、オーストラリア人には謎のような牝馬パラカがいたが、海外からの遠征馬はゼロ。昨年の2着馬ディファイアーはこのところもう1つ調子が良くない。ムーニーバレー競馬場でGUのフィーハンステイクスを勝って期待されていたナチュラルプリッツは、前走コーフィールド競馬場でのGTトゥーラックハンデで12着と無残な負け方をしていたし、このレースで3着のフィールドオブオマーは靭帯を痛めて故障から帰ってきたばかり。ロンロの前評判が高かったので、誰もがもうロンロ以外に勝者は考えられないと頭から決め付けていた。盛り上がらなかった理由はこれら全ての理由によるものかも知れなかった。とはいうものの、この日ムーニーバレー競馬場で盛り上がっていたのは、ロンロ色(勝負服のピンク)を着て現れた比較的年配の女性たち。

さて、負けたロンロの話で始まってしまったが、今年のコックスプレート巣の優勝馬の紹介をしなければならない。そしてこの優勝馬は、もしかして、オセアニアから6年ぶりに行くジャパンカップ参戦馬かも知れないのだ。優勝馬は昨年の5着馬フィールドオブオマー。6歳のせん馬。これまでGTには優勝していないが、必ず顔を出して入着している堅実な馬で、決してオセアニアを代表するチャンピオン馬ではない。2度靭帯を痛めており、ごく最近では今年3月のGTオーストラリアンカップで5着になったあと、2度目の故障をした。9月に復帰してGTドバイレーシングクラブではラスト、しかし、今回のコックスプレートの前走であるGTトゥーラックハンデキャップ(1600m)で優勝馬のローマンアーチをかなり後方から追って力強い2着に入った。フィールドオブオマーは、かつてジャパンカップで優勝したベタールースンアップが所属していたリンゼイパーク厩舎の管理馬である。リンゼイパークは、故コリン・ヘイズ調教師が、生産・育成・調教の総合的な場所として築き上げた世界的なレーシング施設で、ベタールースンアップはこのヘイズ調教師の次男で現在は香港で大活躍をするデビッド・ヘイズ調教師が管理をしていた。そしてフィールドオブオマーを調教したのは、このリンゼイパーク厩舎の専属調教師であるトニー・マカボイ調教師。長い間フォアマン(厩舎長)としてヘイズファミリーの下で勤め上げた優秀なホースマンである。デビッドの兄でピーターがリンゼイパーク厩舎を仕切っていたが、突然の飛行機事故で亡くなって以来、このトニー・マカボイ調教師が任されていた。日本にはベタールースンアップとともに、フォアマンとして帯同したという。フィールドオブオマーはコックスプレートの優勝馬ルビュトン産駒。今年はやはりコックスプレート優勝馬のオクタゴナル産駒ロンロが父子揃って優勝と言われていたのだが、実際はルビュトン・フィールドオブオマーの父子が優勝という筋書きになったのは何とも運命のいたずらとしかいいようがない。コックスプレートをめぐる話はつきない。同馬は、オーナーの一人で、しかもマネージャーをしているのは、競馬の実況アナウンサー。この日、コックスプレートはチャンネル7を通じてオーストラリアの一般テレビ局で全国放送されたが、その実況中継をしたのはなんとフィールドオブオマーのオーナーであった。実況をしていた彼の胸中やいかに。

ベタールースンアップは、コックスプレートを勝ち、翌週のマキノンステイクスに出走、ジャパンカップに行ったが、フィールドオブオマーはマキノンを回避、11月8日のエミレーツーステイクス(GT1600m)に出走して、ジャパンカップの後、12月14日の香港インターナショナルカップを狙うらしい。とすると、ワールドカップシリーズランキングでは、10月38日現在ハイチャパラル(25ポイント)、スラマニ(20ポイント)、アラマシャー(15ポイント)で、フィールドオブオマーは12ポイントで4位につけている。ジャパンカップや香港で優勝しなくてももし2位につければ、ワールドカップシリーズでの1位も視野に入ることになる。2度の故障から復帰して見事コックスプレートに優勝したフィールドオブオマーは、チャンピオン馬ではないが、もしかしてワールドシリーズのダークホースになるかも知れない。