「優駿」オセアニア情報





Back




Presented by
Mariko Hyland & Associates Pty.Ltd.



優駿 2003年2月号




香港競馬とオーストラリア産馬

香港競馬とオーストラリアは、とにかく縁が深い。最近までの裁決委員長はかつてシェリフと恐れられた元オーストラリア・ジョッキー・クラブの裁決委員長ジョン・シュレック氏で、昨年、招聘された調教師として、初めてファーストシーズン目にリーディングになったジョン・サイズ調教師も元ロイヤルランドイック競馬場に厩舎を構えていた。もちろん、今年の香港スプリントを勝ったデビッド・ヘイズ調教師は、かつてジャパンカップにベタールーズンアップを引き連れて優勝杯をオーストラリアに持ち帰ったその人である。その他にも、現在リーディング街道を驀進している騎手のシェ−ン・ダイ騎手とか、香港のここかしこに、オーストラリアのプレゼンスが見られる。

香港に於けるオーストラリアとの関係は、人のプレゼンスだけではない。大げさな言い方をすれば、香港の競馬とオーストラリア産馬とは、きってもきれない仲にあると言ってもいいかもしれない。かつて安田記念を勝ったフェアリーキングプロ−ンはもちろんオーストラリア産馬である。

このような香港とオーストラリア馬の関係を数字で表わしてみると、例えば、今シーズン、香港で224回のレースが開催されて、うち106頭がオーストラリア産馬だという結果が出ている。ということは、何と優勝馬の約半分がオーストラリア産馬ということになる。もっとも、その活躍ぶりは、12月に行われた香港インターナショナルデーで見ていただいた筈。とりわけ、香港スプリントでは、優勝馬オールザスリルツーがオーストラリア産馬。3着馬のファルベロンはオーストラリアからの遠征馬。2着になったファイアーボルトは、アイルランド産馬ではあるが、オーストラリアのチャンピオンで、南北半球をシャトルしている(現在はストップ)フライングスパーの産駒であった。ご存知のように、ファルベロンは、今年3年連続を狙ったが、惜しくも3着になった。

ところで、今回の香港スプリントととかく縁のある牧場を紹介しよう。クインズランド州のボーデザートというところにあるグレンローガン牧場がそれ。オールスリルツーとファルベロンの2頭は、この牧場で生産されており、更にこのグレンローガン牧場には、2000年にファルベロンに負け3着になったキングオブデインが、来シーズンから同牧場で繋用されることになっている。それだけではない、来シーズンはその時1着馬だったファルベロンも繋用されるからますます香港スプリントとの縁が深くなる。そして、この牧場には、ファルベロンのサイアー、アラノンが、また、今回の優勝馬オールスリルツーのサイアー、セントコベットが繋用されていた。いたというのは、アラノンは1年目で死亡、セントコベットもまた、3年だけ種付けして早世しているからだ。優勝馬のオールザスリルツーは、そのセントコベットの初年度産駒である。

セントコベットは、オーストラリアの誇るスピードマシーン、ラスキンスター血統で、自身も94年のAJCサイアーズプロデュース・ステイクス(GT1400m)とVATCコーフィールドギニーズ(GT1600m)と更に二つの重賞レースを制覇した優れたスプリンター・マイラーであった。ちなみにラスキンスターをご存知ない方のために、1974年生まれのラスキンスターは、ゴールデンスリッパーを始め、当時のスプリントとマイルレースを総なめにしている。

ところで、セントコベットはすでにいないが、その息子のカベンジャーが、同牧場で繋用されている。セントコベットの血統を引くたった1頭の種牡馬である。カベンジャーは、現役中4戦して1000mから1400mまでの距離で2勝している。やはりスピード血統なのだ。このカベンジャーは、なかなかの良血で、同馬の牝系には、英国のGTオークスの優勝馬オーソーシャープや、GTコロネーションカップを勝ったルサーラなどがいる。 

現在、カベンジャーの種付け料はわずか2500ドル(約18万円)。今回の香港スプリントでのオールザスリルツーのサイアー、セントコベットが注目されて、このカベンジャーの株ももしかしてあがるかも知れない。香港には、セントコベット産駒がまだいる。4歳のせん馬フライングジェネラル。2勝して入着が4回。なかなか手堅く賞金を稼いでいる。

先述したように、スプリントの2着馬であるファイアーボルトはアイルランド産であるが、ゴールデンスリッパーの優勝馬フライングスパーを父に持つ。そしてこのフライングスパー産駒もゴールデンスリッパー優勝馬。オーストラリアの優れた種牡馬の数多くが、このゴールデンスリッパーの優勝馬である。そしてNZ産ではあるが、フライングスパー産駒の3歳馬が数頭香港で活躍し始めた。オーストラリア産馬と香港競馬。その関係はますます緊密になっていくようだ。