「優駿」オセアニア情報





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Mariko Hyland & Associates Pty.Ltd.



優駿 2004年1月号




豪州最大のレースを制したのは
1年ぶり勝利のマキベディヴァ

オーストラリアの社会におけるメルボルンカップの存在の意義は、オーストラリア人以外の人にはちょっと想像がつかないかも知れない。オーストラリアの18歳以上の成人の約85%が何らかの形で観戦すると言われるメルボルンカップは、まさに「国をストップさせてしまう」と言われているほどの影響力を持っているのだ。このメルボルンカップをはさんで、近年は、カップ3日前の土曜日のダービーデー、カップ2日後の木曜日のオークスデー、そしてその週の土曜日のエミレーツステイクスデーの4日間をメルボルンカップカーニバルと呼んでフレミントン競馬場で競馬三昧の1週間。もちろん、この時期は、競馬だけでなく、社交とファッションと飲食の一週間。しかも、ヨーロッパのようにリッチな人々だけが参加するのではなく、フツーの人々がここぞとばかりに着し飾って飲んだり食べたり、競馬をしたりするのがその特徴。4日間で今年、フレミントン競馬場に来た人々の数は37万人以上。メルボルンカップデーだけで12万人以上という記録を出した。その余波効果が先日メルボルンのあるビクトリア州から発表されたが、オリンピックと同じ経済効果があったという驚くべき結果が出ている。もっとも、今年はラグビーのワールドカップもあったので、その効果と相まったのかも知れないが。

さてメルボルンカップの優勝馬マカイビディーバは昨年のメルボルンカップの最終日エリザベス女王杯で勝って以来、今年のメルボルンカップで勝つまでの1年間ただの一度も勝っていない。しかし、レース前に、玄人の予想家たちが、マカイビディーバには勝つ能力があるが、彼女の狙いはメルボルンカップだと語っていたのを今更ながら思い返している。マカイビディーバは、北半球時間で生まれた英国産のデザートキング産駒。デビューしてからわずか4回のレース・プリパレーションをしただけで(オーストラリアではレース期間をまとめてこのような言い方をする。レース期間と)期間の間は休養に入る)、とりわけ昨年はたった6戦しかしていない。どうりで、優勝のスピーチで、勝利調教師のデビッド・ホール師は「忍耐強く待ってくれたオーナーに感謝する」と述べた筈だ。デザートキングはデインヒル産駒、ご存知のように現在日本のイーストスタッドで?用されており、今回のマカイビディーバの優勝で、2位のデインヒルを抜いて一躍オーストラリアのリーディングサイアーランキングに躍り出た。現在オーストラリアでは44頭の産駒が走っており、内13頭が優勝している。

今年のメルボルンカップには、ゴドルフィンが、ドイツのG1優勝馬マムールとミルズストリートを、またアイルランド産で英国の所有馬ジャーディーンズルックアウト、アイルランドがホーリーオーダーズ、フランス産で英国の所有馬ハグズダンサーなどが挑戦した。結果は、本命になったマムールは足の怪我で最後着、しかし、3度目の正直と、今年は自国の名騎手ダリル・ホーランド騎手で出走したジャーディーンズルックアウトが3着に入った。ゴドルフィンはここ10年近くに渡ってメルボルンカップに出走馬を送ってきているが、未だに優勝していない。レース後サヒード・ビン・スロール調教師は「生きている間は必ず優勝したい」と語ったとか。世界中で100以上ものG1を制覇しているゴドルフィン厩舎が何故メルボルンカップを勝てないかは未だに謎である。

メルボルンカップカーニバルの最終日エミレーツステイクスデーには、G1のエミレーツーツステイクスが開催され、当日はァミリーデーとして、多くの家族連れで賑わうが、この日開催されるレジェンドレースに、今年は河内洋調教師が招待された。このレースは、世界中の元スーパージョッキーを集めて行われるデモンストレーションレースで、昨年は鉄人佐々木竹美元騎手が日本から招待されている。河内師は、メルボルンカップ前日にメルボルン市内の目抜き通りをかつての優勝馬や優勝騎手などとともにオープンカーでパレード。その後、レース日まで、記者会見を含めて様々なイベントをこなしていた。レジェンドレースに今年招待されたのは、アメリカのキャッシュ・アスムセン元騎手や、アイルランドのジョン・リード元騎手や英国、NZに、現地オーストラリア勢3人。その中にはその昔日本で騎乗したこともあり、現在TVのレポーターをするアルフ・マシューズ元騎手もいた。レースは、ストレートシックスと呼ばれるフレミントン競馬場の直線1000m。結果は、アイルランドのジョン・リード元騎手が優勝して、賞品のドバイ往復航空券を手にした。この日、河内師は、残念ながら8着。体重を増やしていた元騎手が多い中、2月から騎乗していないというものの身体つきも現役時代とほとんど変わっておらず、騎乗した馬がよかったら見事優勝ということになっていたかも知れない。河内師は、メルボルンをとても気に入っていて、また来たいと語っていたので、ぜひ来年に期待したい。

話が前後するがメルボルンカップカーニバルの初日ダービーデーは、ダービーとマキノンステイクスそしてサリンジャーステイクスのGTレース3つを含む全9レース全てがグループレースというスーパーサタデーだった。焦点はダービーとマキノン。とりわけマキノンにはメルボルンカップの出走馬が出るので3日後の火曜日のレースを占うレースともなる。今年のビクトリアダービーは、2頭のオークス優勝馬を母に持つデインヒル産駒である、オーストラリアの最良血馬エルブストロームとケンプシンスキーの一騎打ちと言われた。結果はサークルズオブゴールドを母にするエルブストロームがダービー馬に。サークルズオブゴールドは、95年のオークス馬である。この日は、その1週間前にムーニーバレー競馬場で開催されたGUヴァーズで勝ったケンピンスキーが本命になったが、ダービーで、その仕返しを、ダービーでエルブストロームがしたことになる。また同日に開催されたマキノンステイクスには、ママファイ、ディスティンクトリーシークレット、ペンタスティックなどメルボルンカップの出走予定馬が出ていた。また、ジャパンカップにも招待されていたフィールズオブオマーも出走。結果は予想外で、3歳のせん馬カジュアルパスが、後から追いかけたペンタイア産駒ペンタスティックを振りきって勝った。このレースでフィールズオブオマーは2馬身半の3着。ジャパンカップがあるのであまり無理をしなかったのだろうかという印象を持った。尚、このレースには、メルボルンカップにマムールとともに本命にされていたコーフィールドカップの優勝馬ママファイが出たが、同馬が最後尾に近く終わって、レース後、審議。結局は熱発だったことが分かりメルボルンカップは出走取り消しになるという一波乱があった。女性の日オークスデー。この日は、平日にも関わらず、10万人を上回る観衆がフレミントン競馬場に集まった。見た感じ7割ぐらいは女性たち。どうやら会社を休んでの競馬らしい。オークスの勝ち馬は、やはり日本にファンにもお馴染みのスタリオン、スピニングワールド産駒スペシャルハーモニー。同馬は、リー・フリードマン調教師の管理、騎乗は師匠のフリードマンのために渾身の騎乗を見せたダミアン・オリバー騎手で、オリバー騎手は、今年はダービーとオークスの二冠をとり歴史を飾った。年々盛んになっていくメルボルンカップカーニバル。毎年アメリカのブリーダーズカップと重なり、日本からビジターもあまり多くないが、来年こそは、ぜひ日本から馬も参戦して、日本の競馬ファンにもこの楽しい競馬カーニバルを見に来て欲しいと念願している。