「優駿」オセアニア情報





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Mariko Hyland & Associates Pty.Ltd.



優駿 2005年1月号





144回の中で初めてとなる牝馬2連覇
マキベディヴァは歴史に残るステイヤーに

伝説の騎手、レスター・ピゴットは、ここ10年ほどメルボルンカップにきているが、その彼はかつて「メルボルンカップ?単なるハンデキャップレースだよ。それに勝ったからと言って別に大したことはないさ」と軽くいなしたと伝えられる。しかし、メルボルンカップは、ピゴット元騎手が考えていた"単なるハンデキャップレース"だった時代はとうに終わり、今年からエミレーツがスポンサーになり、賞金も更に増えて460万ドルという賞金がかかる大レースとなった。また、その出走馬のクオリティもよりいっそう高くなり、まさに世界一の2マイルレースになったと言っても過言ではない。実際、今年は、ヨーロッパでセントレジャーを4勝している文字通りのトップステイヤー、ヴィニーロウや、メルボルンカップ2年連続をかけたマカイビィディーヴァとヨーロッパ一のステイヤーとの名声を誇るヴィニーロウとの一騎打ちとなり、レース後、世界的に知られるダーモット・ウエルド調教師をして、「今年のメルボルンカップは、偉大な2頭のステイヤーの素晴らしい闘いであった」と言わしめている。

昨年もマカイビィディーヴァだと断言したスカイチャンネルの予想家は、もしかして雨ならヴィニーロウかも知れないが、マカイビィディーヴァは、昨年より更に実力をつけてきており、今年の優勝争いはこの2頭で決まりだとレース前に断言した。(彼は昨年もマカイビィディーヴァの優勝を当てている!)メルボルンカップを2年連続勝った馬は、メルボルンカップの143年の歴史の中でたった3頭しかいない。しかも、牝馬で2年連続を果たしたのは今回のマカイビィディーヴァだけ。また、同じシーズンにメルボルンカップとシドニーカップに走ったのはレインラバーに次いでマカイビィディーヴァが2番目であったが、マカイビィディーヴァはメルボルン・シドニーカップのダブルを果たしているが、レインラバーはシドニーカップで2着になっている。彼女がいかに偉大なステイヤーであるかお分かりいただけるだろうか。

ところで、今年海外からの遠征組みの中でも、ヴィニーロウの他に、最も評価が高かったのは、英国から2度目の遠征をしたサー・マイケルスタウト調教師のディスティンクションだった。しかもオーストラリア一と呼び声の高いダレン・ビードマン騎手が騎乗だったから結構注目を集めていた。スタウト調教師は普通5歳馬以上の馬を管理しないと言われているが、このディスティンクションだけは、例外的で、しかも、同調教師が初めからメルボルンカップ用に厩舎において置いたという。ディスティンクションは、デインヒル産駒の体躯の大きな馬。スタウト調教師は、この馬を最初に見たときからこれは、メルボルンカップを勝てる馬だと一目ぼれしたらしい。ディスティンクションは、ヨーロッパのタイムフォームが高いのにハンデは低かったで、それももしかしてと期待を集めた理由の一つだった。

惜しくも2着になったヴィニーロウは、2002年のメルボルンカップでは4着だったが、その後アイルランドに帰りGTを2回勝っているにも関わらず、ハンデは、前回より1キロ少ない61キロと、今年はかなり条件が良くなっていた。また、ダーモット・ウエルド調教師は、今回も2002年のメルボルンカップ優勝馬メディアパズルを一緒に連れてきていたが、メディアパズルは、メルボルンカップ以降故障でほとんどレースをしていなかった。ただし、レース前、ダミアン・オリバー騎手がメディアパズルに騎乗するのかヴィニーロウに騎乗するのかギリギリまで決定せず、彼がどちらの馬を選ぶのか、最後まで注目を集め、結局メディアパズルに決定して結果は12着となる。 当日、ヴィニーロウに騎乗したピーター・スマレン騎手の騎乗がかなり批判されていたから、あの時、もし、オリバー騎手がヴィニーロウ騎への騎乗を決定していたら、結果は一体どうなっていたかと考えると、まさに運命のいたずらとしかいいようがない。

私も含めて、多くの人の3連単の夢を壊してしまったのは、3着に入ったザズマン(3連単のオッズは3千倍以上ついた!)。騎乗したニコラス・ライアン騎手は今オーストラリア一と呼び声の高い見習い騎手で、メルボルンカップで騎乗できるだけでもラッキーなのに、全くのアウトサイダーで入着になるとは、飛び上がって喜ぶのは無理もない。ザズマンの管理をするトニー・ヴァジル調教師は、4着に入った元ダービー馬エルヴストロームの管理もしている。ワンツーならぬ、スリーフォーだった訳だ。エルヴストロームは、コックスプレートで惨敗したが、さすが長い距離になるとその実力を発揮してくる。もしかして、来年もメルボルンカップに出走することになれば、ちょっとマークしておく必要があるかも知れない。5着は、昨年メルボルンカップに遠征して、そのままオーストラリアに居残りトニー・マカヴォイ厩舎に入ったハグズダンサー。彼は、コーフィールドカップでの走りがあまりよくなかったが、今回5着とはかなり健闘したものだと思う。先ほどのディスティンクションは、7着に入ったフランキー・デトーリー騎手の走路妨害で6着。この妨害でデトーリ騎手は32日間という厳しい騎乗停止になった。

マカイビィディーヴァは昨年、デビッド・ホール厩舎から出走したが、今年は、同教師が香港に厩舎を開業したために、リー・フリードマン厩舎に転厩しての出走となった。リー・フリードマン調教師は、今回のメルボルンカップで何と4回目の優勝になった。メルボルンカップ優勝後、マカイビィディーヴァを日本のジャパンカップに連れていく話も出たが、リー・フリードマン調教師が反対して、現在の予定は、凱旋門賞を狙っているらしい。もっとも、オーストラリアの専門家たちの中には、マカイビィディーヴァは2マイル以上の距離なら走れるnが、凱旋門賞やジャパンカップの2400mでは勝てない。あまりいい気になるなとの声もないわけではない。リー・フリードマン調教師は数年前、ブリンカーの使用を管理母体に報告しなかったために3ヶ月という異例の長い調教免許停止の処分になった。彼は、その期間にヨーロッパに滞在して、ヨーロッパ競馬のイロハを学んだのだという。フリードマン・ブラザース・インク、約してFBIと呼ばれるリー・フリードマン調教師と兄弟がつくる会社は、最近、彼らが長い間ベースにしていたコーフィールド競馬場内の厩舎を売却して、メルボルンの郊外に素晴らしい坂路付きの外厩をオープンしているが、この厩舎と調教場は、リー・フリードマン調教師がヨーロッパで学んだノウハウを取り入れてデザインしたものだと言われる。それ以来、厩舎にいる古馬たちが見違えるように走り出して大きな話題を呼んだ。だから、マカイビィディーヴァの凱旋門賞挑戦も、決して不可能ではないだろうという人たちも多い。