「優駿」オセアニア情報





Back




Presented by
Mariko Hyland & Associates Pty.Ltd.



優駿 2004年6月号




今年のイースターカーニバル最大のヒーローは、何といっても2歳三冠馬に輝いたダンスヒーロー

オーストラリアでは今競馬のカーニバル化が進んでいる。カーニバル化とは、重賞レースを1週間あるいは何日かで固めて消化して、注目を高めていく方法である。昨年メルボルンのフレミントン競馬場で開催されたメルボルンカップカーニバルでは、土曜日で始まる4日間でおよそ38万人の観衆を集め、この方式の成功度が高いことが証明されて、今年はシドニーのロイヤルランドイック競馬場でも同じ方式で、イースターカーニバルが開催された。日程は、イースターのホリデー期間である4月9日(土)と11日(月)にダービーデーとドンカスターデーを、平日の水曜日のオークスデー、そして、17日(土)のシドニーカップデーを設定したもの。結果は、伝統あるメルボルンのカーニバルには及ばなかったが4日間でおよそ13万人を越す入場者で、最初のカーニバルとしては上々の結果になった。

このイースターカーニバルが成功した理由はいくつか挙げられる。例えば、スペシャルハーモニーやダンスヒーロー、マカービディーバなどスター馬がそろったこと。ロンロの引退レースが行われたこと。一般TVでCMなど放送して大々的な宣伝をして女性客を増やしたこと。最後に、日本の読者にはちょっと不思議な理由だと思われるかも知れないが、オーストラリアンジョッキークラブ(AJC)と、これまで独占でレースの放映を続けてきたスカイチャンネルとの間の契約問題がこじれて、場外ではテレビ放映ができなかったことが挙げられる。つまり、場外では観ることができなかったので、そのため競馬場に足を運ぶ人の数が増えたというわけだ。

今年のイースターカーニバルの最大のヒーローは何と言ってもダンスヒーローである。ダンスヒーローは、ゴールデンスリッパー・ステイクスの優勝馬だが、今回のイースターカーニバル中に、GTサイアースプロデュースとシャンペーンステイクスを勝って、2歳馬の三冠馬に輝いた。2歳の三冠には、これまでオーストラリアの歴史上わずか5頭しか出ていない。同馬を管理するゲイ・ウオーターハウス調教師は、ダンスヒーローは、かつて彼女の父親トミー・スミス氏が調教したオーストラリア最強馬キングストンタウンに匹敵する能力を持つと語っており、これから年齢が進み、距離が伸びていけば、コックスプレートステイクスも夢ではないと語った。

牝馬でありながら果敢にもダービーに参加したスペシャルハーモニーは敗れたものの、今年の、AJCダービーは、また新しいスターを出したようである。その名もスタークラフト。スタークラフトは、NZ生まれで、日本でも繋用されていたソビエトスター産駒。ソビエトスターがNZにシャトルされて初年度の産駒である。昨年の11月にクインズランド州のブリスベンでデビューしてから、何回目かの故障を克服してのダービー優勝。「まさか2400mを走れると思わなかった」と、オーナーであるマキム氏。彼は何十年もの間プロのパンター(馬券師)として活躍してきた人だが、今回は自分の馬の馬券を買っていなかったという。

今年のイースターカーニバルでのスター騎手は、グレン・ボス騎手。4月10日に、GTを2つ(サイアースプロデュースとダービー)、12日にGTドンカスターハンデと準重賞、13日にGU(エマンしペーション)と準重賞、そして最終日17日にはGT(シドニーカップとオールエイジド)を2つ、準重賞を1つ、全部で、重賞を9個もとり、自分の5%分だけで20万ドル以上を稼ぎ出した。彼は特に専属厩舎がないが、若手のトップ調教師たちに人気がある。中でもシドニーの若手ナンバーワン、ジョン・オシェイ調教師とはこれまで何度もコンビを組んで大レースに勝っている。今年のイースターは、イースターいちの目玉レース、総賞金200万ドル以上のドンカスターハンデで、見事に優勝した。優勝馬は、昨年クインズランド州でGTのQTCストラッドブロークハンデ(1400m)を優勝しているプライベートスティア。デインヒルダンサー産駒の4歳の牝馬。プライベートスティアは、12日のドンカスターハンデで優勝して、更に17日にも馬齢重量戦オールエイジドステイクスに勝った。ドンカスターハンデのプライベートスティアの優勝は、かなりドラマチックだった。第4コーナーまで20頭中最後尾。しかも、直線で横にバラけた19頭の馬の壁。名騎手グレン・ボス騎手が、一瞬開いた隙間を突かなければ、優勝は、最前方で逃げていたゲイ・ウオーターハウス調教師のグランドアーミーになっていた。しかし、結果は、チャンスをものにして、あっという間にグランアーミーに追いついて、首を差し出したプライベートスティアの優勝。もちろん、グレン・ボス騎手の素晴らしい騎乗ということもあったが、プライベートスティアの勝負根性は凄いものがある。競れば強いという彼女の評判を、とうとう本物にしてしまった。尚、グレン・ボス騎手は、カーニバルの最終日のシドニーカップで、昨年のメルボルンカップの覇者マカービディーバにも騎乗。メルボルンカップ・シドニーカップの二冠を果たしている。

平日に行われたオークスだったが、AJCの"プリンセスウエルカム"シリーズキャンペーンに乗って、やってきたオフィスレディーたちが1万人以上。これはAJCが、独自に、企業と提携してこの日を彼女たちの特別休暇にしてもらうように交渉した結果だという。何ていいアイデア!オークスは、ガイ・ウオルター調教師の管理するワイルドアイリス(父スペクトラム)が優勝。2着3着は、NZ産のフレンチレディとブルバードオブドリームスだった。

さて、イースターカーニバルと、カーニバル最終日のハイライトは、何と言ってもロンロの引退レースのクインエリザベスステイクス。しかし、垂れ幕やロンロの張りぼて、わざわざ彼のオーナーの勝負服に身を包んだファンたちの期待もむなしく、チャンピオン、ロンロはジンクスに泣いた。7年前、父のオクタゴナルもこのレースで、インターゲイズに負けている。今年から種牡馬になるロンロ。さあ、数年後の彼の産駒の活躍やいかに。