「優駿」オセアニア情報





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優駿 2007年6月号





今年のイースターカーニバル、鍵は「長距離でのザビール産駒」

オーストラリアのエルヴストロームは、ダービー優勝馬でエルヴィスと呼ばれて人気のチャンピオン馬だった。2005年のドバイ・デューティーフリーの優勝馬にもなり、現在種牡馬になっている。そのエルヴィスの全弟のハラダサンが、エルヴィスと同じトニー・ヴァジル厩舎からデビューした。2歳から期待されプレッシャーが掛かっていたが、その真価を発揮したのは3歳になってからである。ハラダサンは、今年のシドニーのイースターカーニバルでGTジョージライダーステイクスを勝って、更にオーストラリアのマイルレースの頂点とも言えるGTドンキャスターハンデキャップに優勝した。

このコーナーでもご紹介したことがあるかも知れないが、ハラダサンはフサイチペガサス産駒、昔日のボクシングチャンピオン、ファイティング原田からその名前が取られた。蹄の問題がいつも付きまとっていたものの、兄のエルヴストロームと比べられていたから、ドンキャスターハンデの優勝後、トニー・ヴァジル調教師は「ホッとした」と語っている。ハラダサンは、イースターの最後を飾るクインエリザベスUステイクスに出走したが、古兵デザートウオーに逃げ切られて2着となった。デザートウオーの管理をするゲイ・ウオーターハウス調教師は、「何とかハラダサンをかわしたけれど、彼は力がある。来年は心配です」という。

今年のダービーは、女性問題?で揺れた。つまり、出走予定のミスフィンランドがあまりにも強すぎるために、これは男のレースだ、女を走らせるなという声が上がったからだ。これまでダービーで勝った牝馬は1989年のリサーチのみ。名伯楽、バート・カミングス調教師は「強い牝馬を持っていると、つい挑戦してみたくなるものだけれど、牝馬はやっぱり牝馬だよね」とかつての自分の経験を振り返りながら言った。しかし、ミスフィンランドに対するマスコミやファンの期待は大きく当日も大本命になった。結果は….距離に強いザビール産駒のフューミチーノ。ミスフィンランドは6着に終わった。この日のシドニーは大雨で不良馬場。彼女の負けが原因は、初めて走った重い馬場のせいだったのか、あるいは直線で受けた不利のせいだったのか、単に牡馬には勝てなかったのか。答えは分からない。いずれにしても、ゴールデンスリッパー・VRCオークス馬、ミスフィンランドは、ダービー後のAJCオークスには走らなかった。さて勝って感激の涙を流したのは、フューミチーノのオーナーであるニック・モライティス氏。かつてモライティス氏は、あのマイトアンドパワーでAJCダービーに挑戦して勝てず、今回フューミチーノチーノでダービー初制覇であった。フューミチーノの優勝は、実は、多くの人を驚かせた。同馬の管理をするジョン・ホークス調教師は、最初に馬を見たときからモライティス氏にこの馬はダービー馬だと宣言、2歳では全く走らせずに、3歳になってデビューさせて、わずか3戦目にしてダービー馬にしてしまった。尚、フューミチーノの母ラーテは、JC優勝馬あのホーリックスの娘である。さもありなん。

オーストラリアはここ数年リドゥ―ツチョイス・ブームで、ザビールの時代は去ったかに見えたが、クラシックの距離になると、やはりザビールは強い。今年ザビールはAJCダービーだけでなく、ゲーリックで、シドニーカップも優勝した。ゲーリックは、ザビールの36番目のGT勝ち馬である。ゲーリックは現在7歳、アデレードカップの優勝馬で、今年のメルボルンカップに注目されている昨年のVRCダービー馬、エフィシェントの同厩馬だ。ゲーリックもエフィシェントの所有者もザビールをこよなく愛しているロイド・ウイリアムズ氏。ところで、ザビール産駒は、今年、国際的にも活躍した。ドバイのシーマクラシックを勝ったヴェンジャンスオヴレインもザビールであった。

今年のイースターカーニバルには、地元ロイヤルランドイック競馬場のゲイ・ウオーターハウス調教師が活躍した。彼女の父、TJスミスの名前をとったTJスミス・ステイクスのベントリービスケットやシャンペンステイクスのムーリース、そしてクインエリザベスUステイクスのデザートウオー。ベントリービスケットは、英国人のオーナーということもあって、この後、夏のロイヤルアスコットに遠征させるという。かつて英国で女優修行をしたという彼女のあでやかな姿がアスコットで見られるかも知れない。