「優駿」オセアニア情報





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優駿 2004年5月号




最速2歳馬決定戦ゴールデンスリッパ−Sとロンロのローズヒルガーデン最後のレース

4月3日は、ロンロがローズヒルガーデン競馬場で走る最後の日。また、その日は、既に種牡馬になっているオクタゴナルもデモンストレーションランをすることになっていただけでなく、オーストラリア最強3歳馬との呼び声が高いスペシャルハーモニー、4戦4勝、無敗でゴールデンスリッパー・ステイクスに臨むアリンギを見ようと、およそ3万3千人の観衆が集まった。もちろん天候は、青空が広がった美しいシドニー晴れであった。

ゴールデンスリッパー・ステイクスはご存知のように総賞金300万ドルの世界で最も賞金が高い2歳レースである。これまでマスケイ、サーダッパー、ケニーラッド、そして最近では、フライングスパーやダンゼロなど優勝馬から、優れた種牡馬が出ているオーストラリアの最も重要なレースのひとつである。ところが、最近、2000年にベルデジュールが、2001年にはハハが、2002年にはキャラウエイギャル、また昨年はポーラーサクセスと、牝馬が優勝してなかなか牡馬の出る幕がない。あまり牝馬だけが勝ちすぎるので、この牝馬に対する3kgのハンデは多すぎるのはではないかという声も高かった。

そして今年の結果は、2歳のせん馬ダンスヒーロー。94年に同じレースで優勝したダンゼロを父に持つ。男が勝つか女が勝つかという予想に、女性であるゲイ・ウオーターハウス調教師の管理するせん馬が優勝したのはちょっと皮肉な結果。オーストラリアでは、2歳のデビュー前に去勢するケースがほとんどで、牡馬だと、管理が大変だからという意味で預託料金を高くしてしまう厩舎があるのは、日本の方々にとっては驚きかも知れない。優勝馬の管理をするゲイ・ウオーターハウス調教師は2001年にハハで、女性調教師として初めてゴールデンスリッパー・ステイクスを優勝して、今年で2回目の優勝。父親の故トミー・スミス調教師はこのレースに6回優勝という記録を出しているが、彼女は父親の記録に迫ることができるのだろうか。

さて、ダンスヒーローの父ダンゼロは、95年にオーストラリアのハンターバレーにある、アローフィールド牧場で繋用され始め、2000年と2001年に、2年間英国でも繋用されている。3月31日までの賞金額によるリーディングサイアーランキングでは、相変わらずデインヒルが1位になっているが、今回ダンスヒーローが優勝する前の段階でも、デインヒルの息子たちである、フライングスパーとダンゼロがそれぞれ8位と9位でトップテンに、また、2歳リーディングサイアーでも、ダンゼロが2位、フライングスパーが4位にランキングされていて、誰の目にも、いよいよ世代交代の時がやってきたことが明らかであった。そして今回のダンゼロ産駒のゴールデンスリッパー・ステイクス優勝である。今後、賞金額による総合リーディングサイアーのランキングの順位が変わるのは当然だが、2歳リーディングの1位には、当然ダンゼロが輝くことになる。デインヒルをオーストラリアに連れてきて大成功させた後に、一緒に所有していたクールモア牧場とのイザコザで持っていた株を売却せざるを得なかったアローフィールド牧場にとっては、今回のダンスヒーローの活躍に、喜びもひとしおに違いない。

トライアルとは、オーストラリアならではのシステムで、馬の調子を見るために、馬券を賭けることはしないが、900mから1000mぐらいの距離で、実際のレースと似たような状態で行う模擬レースのことをいう。ゲイ・ウオーターハウス調教師は、このトライアルを数回行ってからレースに使うことで知られているが、ダンスヒーローの場合はデビュー前に3回のトライアル。その後、昨年10月にロイヤルランドイック競馬場(3着)でデビュー。軽い休養後12月にシドニーで優勝。その後1月上旬のマジックミリオンズで優勝した。ゲイ・ウオーターハウス調教師が、3回のトライアルで、ダンスヒーローが並の馬ではないことを十分に確かめた上での見事なローテーションの組み方。歴史上、マジックミリオンズとゴールデンスリッパー・ステイクスのダブルをとった馬はダンスヒーローが初めてである。

前述したように、この日は、我らがチャンピオンロンロのローズヒルガーデン競馬場最後の出走であった。メルボルンで、感動の引退レースを終え、本拠地シドニーに戻り、ローズヒルガーデン競馬場での引退レースであったが、今回はGTジョージライダーステイクス(1500m)に出走した。相手は、グランドアーミーやプラチナムシザースなどGT優勝馬、またダービーを狙うサンデー産駒キープザフェイスも出走したが、結果はやはりロンロの優勝。ファンの願いが天に届いたのかも知れない。いつものことだが、ロンロは、ゴール前600mまでは先頭の馬から8馬身も離れて、最後尾近くにいた。 鞍上のダレン・ビードマン騎手がロンロを中央に出して、鞭も入れずれにゴーサインを出すと、ぐんぐんと速度を増して、300m手前でグランドアーミーを捕まえ、気がついた時には、同馬をあっけなく抜いていた。ロンロの1回目のGT優勝の瞬間である。さあ、4月17日は、ロイヤルランドイック競馬場でクインエリザベスステイクス出走。これがロンロの競馬を見ることができるオーストラリア最後のレースになる。