「優駿」オセアニア情報





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Mariko Hyland & Associates Pty.Ltd.



優駿 2003年10月号




オセアニアにおける最強馬決定戦
現時点の本命馬はGI 6勝のロンロ


メルボルンカップは、オセアニア最大のレースであるが、これはオセアニアの競馬の伝統であるハンデキャップレースで、オセアニアの最強馬を決めるレースはメルボルンのムーニーバレー競馬場で開催されるWSコックスプレート・ステイクスだとされる。距離も2040mで、1600mから2000mを得意とするオーストラリア産馬に適している。また、時期的にもメルボルンカップとコーフィールドカップの二つのハンデキャップレースの間にあって、ムーニーバレーレースクラブはこれを戦略的に配置したとされているのもうなずける。さて、これまでこのレースを勝ったのは、90年にはジャパンカップでも優勝したベタールーズンアップ、95年にはオクタゴナル、96年にはセイントリー、98年はマイトアンドパワー、99年と2000年はサンライン、そして昨年と一昨年はノーザリー、オーストラリアの最優秀馬に選ばれた馬たちの名前がその勝ち馬リストにキラ星のように輝いている。

さて、今年のWSコックスプレート・ステイクスも話題がいっぱいだ。その理由の1つは、昨年と一昨年の覇者ノーザリーが引退して見通しが混沌としていること。また、昨年は残念ながら6着と終わったチャンピオン馬ロンロが更に強くなって再度挑戦すること。1999年からワールドシリーズに入ったWSコックスプレート・ステイクスだが、未だに外国馬が勝っていない。しかし、今年は、ジャパンカップの優勝馬ファルブラブを始め、アメリカ、英国、アイルランド、フランス、ドイツ、香港、シンガポールを始め22カ国から登録があり、もしかすると外国馬が勝つチャンスもある。世界中を回って勝っているファルブラブは、同レースに参戦後、ジャパンカップの2年連続優勝を狙い、更に香港に回るというから、その動きにも目が離せない。なお、アーリントンミリオンで敗退したので、現在の段階で確実に参戦するかどうかは分からないが、昨年のケンタッキーダービーの3着馬パーフェクトドリフトも、もう1つの話題。これは、アメリカ馬が初めてオーストラリアに遠征するかも知れないという期待と、同馬の調教師であるマリー・ジョンストン調教師が、ムーニーバレー競馬場がある土地のオリジナルの所有者で、このWSコックスプレート・ステイクスの名前にもなったコックス氏のひ孫であることからである。

WSコックスプレート・ステイクスは逃げ馬が勝つと言われているが、実際はそうでもない。確かに、過去に超実力馬であるマイトアンドパワーや、サンラインは逃げて勝ったが、これ以外に、過去20年間、逃げて勝ったのは94年NZの牝馬ソルヴィットが勝っただけ。しかし、それらの馬にしても、ただ単に逃げただけではない。2000mの道中で、キチンと力を貯める時には貯めているのである。セクショナルタイムがそれを物語る。マイトアンドパワーの場合、最初の1240mを16.41秒、ところが800m−600mを16.75秒、600m−400mを16.86秒と落として、最後の200mで、16.47秒に速めている。いきなり逃げてしまうと、普通の馬では、必ず最後でヘタってしまう。ムーニーバレー競馬場の最後の直線はわずか178mであるが、最後の800mは、7.5%の傾斜で上り坂になっているからだ。

最後に、今年の参戦馬について一言、今年は、何度かオーストラリアの重賞レースに挑戦したがなかなか勝てなかったNZからの遠征馬は多分走らないだろう。もちろん現在の本命馬は前述したロンロである。5歳の牡馬、ロンロは、95年に優勝したオクタゴナル産駒。彼が勝てば歴史上初めて父子優勝が実現する。ロンロは現在まで26戦して19回優勝。うち、GTが6回、GUが8回、GVが3回という素晴らしい成績。今シーズンも始まってすぐの8月23日にGUワリックステイクス(1400m)勝っている。ノーザリーもサンラインもいなくなった今、ロンロ旋風が吹いてもおかしくはない。昨年2着だったデファイアー(デヒア産駒の6歳のせん馬)も見逃すことが出来ないかも知れない。ブックメーカーのオッズでは、この他グランドエイミー(ヘネシー産駒、5歳のせん馬)も高い評価を受けている。同馬はリーディングトレーナーのゲイ・ウオーターハウス調教師の管理馬で、これまでまだ9戦しかしていないが、今年、GTのローズヒルギニーズを勝った。

他に2頭の牝馬も注目の価値が有る。デインヒルの5歳の牝馬マジカルミスがその1頭。彼女は15勝して4勝のオークス馬。この馬から目が放せない理由は、 この牝馬が名伯楽バート・カミングス調教師の管理馬であること。バート・カミングス調教師は97年にデインリッパー(当時3歳牝馬)でWSコックスプレート・ステイクスを優勝しているが、このデインリッパーは、6月にクインズランド州でストラッドブロークハンデキャップに勝ち、それからコックスプレートに出走。40倍の高倍率をつけて勝った。このところ重賞レースでは暫く鳴りを潜めているカミングス調教師ではあるが、彼は大レースにピッタリと馬を仕上げることで有名だからやはり要注意。もう1頭の牝馬は、このデインリッパーと同じように、今年のストラドブロークハンデを勝ったプライベートスティア(デインヒルダンサー産駒、4歳)。彼女もデインリッパーと同じ道を踏むかも知れないと注目されている。なぜならこの馬の調教師はシドニーの若手ナンバーワン調教師ジョン・オシェイ調教師。彼は元カミングス厩舎で働いていたから、師匠の真似?をする可能性もあるというわけ。私は…やはりロンロに期待したい。